いざ行かん!とばかりに私たちは洞窟に入った。前はホソミさんで後ろが私。
洞窟といっても本当は二人並んで歩けるほどの道幅なのだけど、道の左右すべての壁にビニールシートが貼っており、うっかり壁に当たろうものなら何が落ちてくるかもわからない緊張感で、私たちはこのようにずんずんと押し進んだのだ。それがいっそう洞窟感を醸し出していた。
洞窟といっても本当は開発途中のショッピングモールなので、すぐに中央の中庭のような広場についた。広場の真ん中に噴水があり噴水を取り囲むように一階、二階、三階とたくさんの店が放射状に取り囲んでいる。吹き抜けになっているので、ここから全ての階を見ることができる。三階は見上げるのに苦労するが…
噴水のそばから見上げる天井はとても高く、ガラス張りのドーム状になっているから、
まるでここだけ建物の外に出る中庭のようにも思える。そういった空想を助けるかのように噴水の周り一体、またそれぞれの階にパキラやゴムの木、マドカヅラなどの観葉植物や、
月桂樹のような背の低い木々、そしてポーチュラカやパンジーなど色鮮やかな花々が植えられている。
勿論、一つ一つの店といっても開発途中で開店はしていなく、まだ店の外装どころか入口の壁と同じくビニールシートが貼られている店も多いため、洞窟感は失われていない。ともすればそれぞれの店の入り口(のように見えるところ)が、個別の小さな洞窟の、ぽっかり空いた口に見えなくもない。
この噴水の広場がたとえば、洞窟の中央部分、急に空が見える吹き抜けのオアシス、なぜならそこにはきれいな水があり緑もある。ここで冒険者たちは潤いを取り戻し、それぞれの洞窟に戦いに行く。つまりここは休憩場所でもあり、すべての入り口の玄関口(エントランス)でもある。そんな風にも確かに空想できるのだ。
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