2023年1月31日火曜日

洞窟エントランスのオブジェ⑤

 再び私たちは「洞窟のある要塞」に向かって、風がびゅうびゅう吹く中を歩き出した。

前を歩くホソミさんの姿を確認すると、私と同じように片方の腕を顔の前にかざして、
風を防ぐ盾のようにして歩いていた。

丘を降りると風は静かになり、今度は整地されていないボコボコした少し広い道を歩いた。周りには背の高い木々が生い茂り、小さな森のようにも感じた。歩くにつれ道は狭くなり、道の左右には腰の高さくらいの頭を垂れた雑草がこちらに向かって生えていたので、何となくそれを触ったりしながら歩いた。草や樹木の香りと潮の香りが混ざっているような風が緩く吹き抜けた。後ろを振り向くと木や草に隠され、海はもう見えなくなっていた。

とうとう森を抜けると、また少し高い丘の上に要塞はそびえたっていた。

丘といっても今度はもっと小さな丘だったのですぐ入口についた。

あたりを見渡すと、やはりここもまた少し地形が高くなっているので、今通り抜けてきた森越しに海が見えた。まだまだこの辺りは地区全体が開発途中にあるため、地形なども入り組んだりボコボコしていたりするのだ。木が伐採されていない小さな森も沢山ある。

入り口前で立ち止まり「とうとう着きましたねぇ」とホソミさんが嬉しそうに言ったので、
私もなんだかわくわくしてきた。








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