私とかめくんは朝の光が降り注ぐ店内で、ガラス越しの外の景色に目をやりながら
「みんな忙しそうだねえ」とか「あ、歩道に雪が舞っている」などとぼんやり言っていた。
二人ともまだ十分に目が覚めていないのである。
なぜ私たちが掃除に参加していないかというと、この時期の雪掃除があまりにも忙しすぎて商店街のみんなでスケジュールを決めて当番制にしたのである。つまり今日、私たちは朝の掃除を休んでいい日なのである。もちろんお昼を過ぎたころになると、当番関係なく自分の店回りはこまめに掃除しているけれど。
「わーちゃん、お祭りにちなんだ作品できた?」
「うん、昨日遅くに出来上がったよ、また後で見せるね」と私は言った。この、(後で)というのは訳があるのだ。それは後で説明する。
とにかく私たちは、まるで外の世界と店の中の時間の進み方が違うかのように過ごしていると、カラン!と軽やかな音を立てて、ガラスのドアに取り付けられたドアベルが鳴った。
「ぴーちゃん!」私とかめくんは同時に叫んだ。一年弱の再開の喜びと、懐かしさをもってである。
初夏の雪が詰まったビニールの袋を肩にかけて持ち、ドアを勢いよく開けたぴーちゃんという私たちの親友は、店内と外の時間を一瞬で繋げたのだった。
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