わかめの日⑭
ひとしきり笑った後、
「なぜわかめの日と書き換えたんですか?」と単刀直入に聞くと、
イサトさんの顔から笑顔が消え、少しの間沈黙してから、
「自分にとって何が一番大切かを考える日」
とつぶやきました。その目はどこか遠くを見ているようでした。
私達がきょとんとしていると、イサトさんはふと我に返り、
「そう掲示板には最初書いてあったんですよ。僕は昔からそういう難しいことを言われると、何かしら反発心がむくむくと湧き上がってくるようなひねくれた人間なんです」
と少し笑ってそういいながら、足元の空間に持っていた乾燥ワカメで、くねくねと八の字を描いていました。
そうしてからその作業もやめ、今度はまっすぐ私たちの方を交互に見てから、
「すまなかったね。何か君たちに迷惑をかけてしまったんじゃないだろうか?」
といったので、私のほうこそ嫌なことを忘れるためにただ楽しんでいただけなのかなと申し訳ない気持ちになり、
「いいえ、とんでもないです!」と言いました。
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