「そうしたら今度はまあ、わしの怒りをよそに人懐こい笑顔で、『おじさん』って、そんな風によばれたんだよ彼におじさんおじさん。ってね。それでおじさん。本当は外道はすぐリリースするものだけど、その魚はそのままにしていたらやがて腐ってハエがたかるから、ごみと一緒に捨ててあげたらいいんですよ。それが釣り人のマナーです。それに干からびた魚を海に捨ててもしばらく浮かんだままだし、やはり腐って魚にも海にも良くないですよって。」
それを聞いて私たちは、「なるほど」と納得の声を上げた。
私はその青年に対してムカッとしてしまったことを少し後悔した。
「なぁ、それでわしも大した青年だと感心してしまって、それに彼は釣りもうまくてなあ。今日はここに行けば釣れる。このエサを使えば、ここに投げればといった感じで、機転が利くんだな。判断のスピードは釣りに必要みたいだ。わしはそのあたり苦手でな、タイミングが中々掴めなかった。だからだろうか、彼に随分心酔したなあ。どこへいくにも一緒に付いていったよ」
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