2018年12月16日日曜日

わかめの日⑲


私はそのわかめの絵をよく観察してみた。
・大きなキャンバス
・薄いグリーンのような色調
・海の中のような感じ(何か生き物のようなものも見える。藻のようなものも)
・キャンバスの中央辺りに大きなわかめのような海藻が描かれている
・その大きなわかめは不思議な色合い。茶色のような緑色のような。わかめの細かいしわや光の当たり具合も表現されている。

私がその絵をまじまじと見ていたらイサトさんが
「本当はわかめは海の中で茶色くみえるんです。それから私たちが工場で加工するためにまず湯通しすることによって、皆さんがイメージするわかめの色つまり緑色に変わるんです。」といった。

私達がへぇと小さな感嘆の声を上げると、
「でも、絵画教室に行ってじゃあ一番身近なわかめの絵を描いてみますかと言われた時、私はわかめのことを何も想像できなかった。もちろんわかめが海の中ではどんな様子なのかは知っています。けれどそれは経験からくる職業的な知識に過ぎなかった。わかめがひとつの商品ではなく生きたものとしてどのように海にただよい、また他の生物にたいして、ひいては海全体の世界に対して、どのような影響を与えているのかなんて考えたこともなかったんです。だからきっと急に現れたわかめに対する迷いのような感情が、その中央のわかめに曖昧な色合いを与えたんでしょう。」と言った。









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