2018年1月28日日曜日

わかめの日⑪


海岸へ無事にたどり着くと、今度は「どうしようか?わかめでも探す?」
などと二人で話しながらテトラポットの間などを探しましたが、
フジツボやフナ虫がいるだけでした。

途方に暮れていると、海岸の向こうの方から、太陽の逆光を浴びて人影がみえてきました。

顔ははっきり見えなかったのだけど、背が高く左手に小さなビニール袋のようなものをさげ、右手にはなぜか大きな乾燥ワカメを持っていたのです。

私達は顔を見合わせて、
「あの人だよね!絶対あの人だ!」
と言いあいました。

「あのう、すみません」とおそるおそる私たちが声をかけると、
ゆっくりとその人は私たちに近づいてきました。




2018年1月19日金曜日

わかめの日⑩


防波堤まで着くと、周りは今までの住宅街とは違っていて古い集会所のようなものがあり(集会所の立て札には港町集会所と書いてあった)、古い民家のような家々が点在し
どうやら港町の入り口に来たようでした。

ここから防波堤に添って右のほうを遠くまで眺めると、民家のほかに古くからある小さな工場などもいくつか見えて小さいながらも人々が集まり、しっかりとコミュニティーを築いてきたんだなと感じます。

kameくんがふと思いついたかのように
「ねえ、結局この社長さんに会うにはこの海岸に行くといいって言われてきたけど、その社長さんの会社名どころか名前も聞いてないってよく考えたらすごいね」
と言ったので、私も可笑しくなってきて二人で笑ってしまいました。

気を取り直して背の高い防波堤に立てかけられた錆びた青い梯子を上ると、反対の砂浜側はコンクリートのしっかりした階段があったので、少しほっとして降りることが出来ました。