2017年3月10日金曜日

わかめの日⑤


店長さんは続けて言いました。
「あれね、完全なるやらせ。組合長さんの自作自演のイベントらしいですよ」

そう聞いて私は、頭がガーンっと木槌か何かで殴られたような気がしました。

なんでも店長さんによると、加工品店の前の店長さん、つまり今の店長さんのお父さんが組合長さんの奥さんと昔からの知り合いで親しくしていて、よく組合長さんの愚痴を聞かされるそうです。それでたまたま店を引退したお父さんが、久しぶり店にきて店長さんと働いていた時に、その奥さんが店に顔を出してきて延々と、また愚痴を聞かされたそうです。(それは店長さんも一緒に聞いていた)

その今回の愚痴というのが、例のイベントの事。
奥さんが言うには、組合長さんだけがそのイベントに夢中になっていて、
商店街のみんなは迷惑している、皆にもう毎月毎月何の日か決めて何かするのはちょっとイベントを行う頻度が高すぎるから、
何とかなりませんか?と、奥さんに苦情が来るとの事。

しかも、あの投函箱の謎も明かされたのです!

謎とはつまりこういう事、あの投函箱には実は皆嫌気がさしていて、今となってはアイデアを投函する人なんて誰もいない。
いや、正確には二人の人物以外は誰も投函しない。

つまり、組合長さん自身と、この私以外は・・・。

2017年3月1日水曜日

わかめの日④

私達は、さあ冒険の第一歩だと言わんばかりに勇み立ってその加工品店に向かいました。
と言ってもその加工品店は、私たちのお店(MILUZDROP)からそう離れてはいません。
過去何度か利用したことのあるお店です。ちょっと下手くそですが地図を載せておきます。



ブルーに塗っているのが、MILUZDROPで、オレンジが加工品店。左端の黄緑に塗られているのが私たちが落ち込んで座っていた海の見えるベンチ、そしてその横のピンク色が例の掲示板、その下に憎っくき投函箱が設置してあります。

とにかく加工品店につくと、以前いた方とは別の店長さんがおられました。
私より少し年上の落ち着いたお兄さんといった感じの素敵な人でした。

何でも以前の店長さんはそのお兄さんのお父さんで、お父さんは店の仕事をリタイヤし、 ふもとのご実家でのんびりされているとのこと、まずはこれからもよろしくお願い致しますとご挨拶させていただきました。

それでさっそく店長さんに、まずは例のイベントの事から話をはじめると、店長さんは一瞬驚いた顔をして何かを思い出すように目を細め、それから少し笑いながら
「ああ、あのイベントですか・・・」と意味深な表情で言いました。