とかめくん。うんうんと私も頷いた。
「さあどうなんだろうか?わしももう10年以上釣りをしていないからなあ」とおじいさんがいったので、少し私たちは驚いた。なんだか昨日も今日もずっと釣りをしているかのような雰囲気だったからだ。
「まあ正しくは、ついさっき10数年ぶりに糸を垂らしてみたんだけどね」
「はあ、釣れましたか?」と聞くかめくんにおじいさんは、
「うーん、いやまあ、魚からの返事はあったような。なかったような・・・」と、気になる返事をしたので私もおそらくかめくんも、このおじいさんから色々話を聞きたくなった。
「あ、あの10年以上も釣りをしなかった理由って聞いてもいいですかね」やっぱりかめくんはいつものように我慢できなくなって聞いた。かめくんは人間の内に秘めるものの存在を少しでも感じると、それに対する興味が隠せないたちなのだ。
「わしが釣りをしなかった理由?うーん難しいなぁ。うん、でもきっかけのようなことはあったかもな・・・でもわしも難しく考えすぎたのかなぁ。いや難しい」私は何が難しいのかさっぱりわからなかった。
「何かおじいさんの中で答えが見つからないんですか」そう聞いたかめくんの目は輝いていた。