私は元にいた部屋のダイニングチェアに再び座り、テーブルに置いたままのワカメの資料をもう一度見直した。
しばらくたつとアトリエからイサトさんだけが出てきて、ドアを完全には閉めず、ほんの少しだけ隙間を空けてから、テーブル越しの斜め向かいに座った。
なぜ、ドアを完全に閉めないんだろう・・・
隙間からかめくんが見える、
アトリエの床に座り、本棚の脇に置かれたミニテーブルの上に先ほどの日記を乗せて読んでいた。
イサトさんは、相変わらず穏やかな表情をしているが、僅かに緊張しているようにも見えた。
斜め向かいでテーブルに肘をつき、手に顎を乗せ何となく窓の外を見ている。
私が資料を見るのをやめて、そんなイサトさんの表情に気をとられているのに気付くと、
イサトさんは一瞬私と目を合わせ、再び窓の方に顔を向けると、ついでのように言った。